日本の企業は未だ年功序列、終身雇用制度が根強く残っているため、一般的に転職回数が多ければ多いほど平均年収は下がり転職そのものも難しくなります。
大手転職サイトの一つ、@typeのデータによると平均年収が最も高い転職回数は1回のみで次いで0回、つまり転職を一度もしない人が2番目に平均年収が高いという結果になっています。
その後2回以上は転職をすればするほど平均年収が下がってしまう傾向にあります。
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転職で年収が上がりにくい理由
転職するなら20代後半が一番年収アップしやすく最適という記事に詳しく書きましたが転職は動機やタイミングによって、また企業とのマッチングを確実なものにすることが可能なため「会社の貢献度=年収」ならば年収アップしやすいはずです。
まだ就職経験のない学生時代に自分に適していると思って選んで入社した人と、一度就職し自分の長所、スキル、経験をより活かせる会社へと転職した人では後者の方が年収アップが見込まれるはずです。
転職回数1回のみが最も収入が高いのはその結果の表れなのでしょう。
しかし2回目以降は全く転職しない人よりも年収が低い。
つまり日本ではスキル云々の前に転職自体が評価されていないということです。
終身雇用、年功序列のまま
先述した通り日本で転職が評価されないのはやはり実力社会、評価主義になりつつあると言われている中で未だに終身雇用、年功序列が根強く残っているからです。
実はこれらの制度は100年以上前から存在する制度なのでグローバル化が進んだ現代でも日本は中々変わらずにいるのです。
表面的に実力社会、評価主義、歩合制等の体裁をとっていても未だどの会社も年功序列、終身雇用が根本にあるので転職は評価されにくいです。それでも10年前と比べるとかなりましになりましたが。
何が出来るかよりどこに所属したか
もう一つ、日本は欧米やアジア諸国と比較しても個人の経験やスキルよりも何をしていたか、どこに所属していたかを重要視します。村社会の特徴ですね。
例えばアメリカでは無職のニートでも高度なプログラミング知識があれば多くの会社が欲しがりますが日本では履歴書に「プログラミングが出来ます」なんて書いても職歴がなければ相手にされません。
本人の能力が優れていてもいろんな会社に所属した人は評価されないんですよね。
「何が出来るか」よりも「どこに何年勤めていた」かが評価の対象で最も評価されるのは自社で働き続ける人、というのが日本企業の特徴です。
大企業ほどその傾向は強い
年功序列、終身雇用制度は歴史があり多くの従業員を抱える大企業、優良企業であるほどその傾向が強いと言えます。
そしてそれが変わることもおそらくよほど大きなトラブルでも起きない限りないと思います。
古い会社はほぼ例外なく中高年世代が支配しています。
役員の平気年齢が50代後半だったりすると彼らとしてはそれらの制度が自分達にとってとても有利に働きます。
政治の世界と一緒で制度を変える側にある立場の人が自分達に有利な制度を変えようとすることはないんですよね。
よくテレビを賑わす大手家電メーカーの社長や幹部の人達はみんな60歳前後です。後数年持ってくれたらOKなんです。
従業員の数が多いから変えられない
変える立場の人達が自分達の利益のために変えたくないというも大きいですが、それ以上に年功序列が残っているのは大企業は小回りが利きにくいという理由が大きいです。
今まで何十年終身雇用、年功序列を守ってきたわけですから急に変えることは非常に難しい。
小さい会社だと影響する従業員も少ないため、意にそぐわない従業員がいれば新しく補てんすれば済みます。
しかし大企業で本当にそれらの制度を完全に辞めてしまうと間違いなくパニックが起きますよね。
今まで順調に年収が上がっていたのに急に、
「来年から年功序列を撤廃します」
と言われ翌年からただ年収が上がらない、下手すれば下がってしまうような事態が起きれば社内は混乱するでしょう。
優良企業から転職するリスク
先ほど述べた通り大企業、優良企業はよほどのリスクが起こらない限り年功序列、終身雇用を変えることはありません。それこそ倒産の危機に直面でもしない限り。
故に大企業、優良企業で働く人は将来高収入を約束されたのも同じです。
そのため大企業に勤める人が転職によってそれ以上の生涯賃金を増やすことは非常に難しいと思われます。
大企業と言えど年功序列だと若いうちは収入が低いので転職によって数十パーセント年収アップさせることはそれほど難しくないかもしれません。
しかし最終的な生涯賃金は転職しない方が高いということは多々あります。
特に大企業から中小企業やベンチャーへ就職すると生涯賃金がほぼ下がってしまいます。
転職する場合は年収ダウンを覚悟しよう
優良企業、大企業から転職する場合は年収、生涯賃金がダウンしてしまうことを覚悟しなければなりません。
売ったら売った分だけ給料に繋がる保険や住宅営業等で素晴らしい成績を上げることを除いて大幅に年収アップさせることは非常に難しいです。
ただ、仕事というのはお金がすべてではありませんよね。
仕事は一日の大半を費やし、自分の人生を大きく左右するものですから多少のお金の差よりも大切なものがたくさん詰まっています。
それらを考慮した上で年収が多少下がってしまっても良いなら大企業でもどんどん転職すべきであると考えます。