やりたい仕事があったり引き抜きの話があったりした時の場合は別ですが、例えば収入が低くて転職を考えている場合は同業種に転職するべきか異業種に転職するべきか、同職種をやるべきか異職種をやるべきか迷いますよね。
同業種、同職種で働いた方が知識もスキルもそのまま引き継いで仕事が出来るので収入アップに成功する可能性が高いようにも思います。
実際のところ業種、職種を変えずに転職した方が年収アップに成功しやすく、逆に業種、職種を変えて転職すると年収がダウンしやすいのでしょうか。
目次
最も年収アップしやすいパターンとは?
転職のパターンには「同業種/同職種」への転職、「同業種/異職種」への転職、「異業種/同職種」への転職、「異業種/異職種」への転職の4つがあります。
大手転職サイト、dodaのデータによるとこの中で最も転職者の多いパターンは「異業種/同職種」となっています。
内訳は下記の通り。
- 同業種/同職種 – 25%
- 同業種/異職種 – 7%
- 異業種/同職種 – 39%
- 異業種/異職種 – 29%
この中で年収アップがしやすいパターンは具体的に数値化はされていませんでしたが、dodaの高い年収アップ率を考慮すると「同業種/同職種」以外のパターンでも多くの人が年収アップに成功していることがうかがえます。
スキルを活かして異業種へ
先述した通り最も多い転職のパターンは「異業種/同職種」となっています。
例えば車の営業をやっていた人がコピー機の営業をするとか、建築会社の事務をやっていた人が病院の事務をするというようなパターンです。
業種が違うのでその業界特有の知識とか経験はなくても職種が同じであれば基本的な部分は同じなので前職の経験を活かして仕事がしやすい、という理由もあって最も転職しやすいパターンなのかもしれません。
さらに異業種であることでその業界であまり取り入れていない前職の良い部分を持ち出すことも出来るので比較的年収アップに成功しやすいパターンでもあるようです。
例えばコンピュータ関係の会社の事務員はexcelのマクロやプログラミングを使って効率化を図っている人も多いです。
その知識を活かして異業種へ転職した場合、新しい職場でもマクロやプログラミングを活かすことが出来るので長く勤めている社員よりも速い仕事が出来るということもあります。
異業種、異職種の割合が多いのは?
上記のことから「異業種/同職種」で転職する人の割合が多いのは理解出来ます。業種が違っても職種が同じならそれほどつまずくことはないですし興味のある分野への転職なら前職以上にモチベーションも上がるでしょう。
一方で「異業種/異職種」へ転職してしまうとほぼ一から仕事を覚えないといけないですし年収アップも期待出来ないように思えます。
しかしそれでも割合が「異業種/同職種」に次いで2番目に多いのはそれこそ低収入で将来性のない会社から転職する人が多いのではないかと予想します。
例えば小売業、販売、サービス業から転職して年収アップする方法にも書きましたが小売業やサービス業は全体的に年収が低い傾向にあります。
20代後半で年収300万円前後、40代、50代の先輩が年収400万円前後しかないのを見ると将来のためにと思って転職を考えるのは当然です。
その際例えば飲食業で働いている人のほとんどは飲食を避けます。何故なら飲食業で大幅年収アップは期待できないということを知っているからです。
そもそも転職する理由ってその仕事が嫌になったから別の仕事(別の職種)をやりたいとか、その業界が嫌いになったから別の業界(業種)に移りたいという動機が多いと思います。
年収アップに成功しやすいはずの「同業種/同職種」の割合が意外と低いのはこのせいであると考えます。
同業種への転職は違法ではないが問題となることも
同業種への転職が少ないのはそもそも同業他社への転職がトラブルになる可能性がある、という理由もあります。
大企業、中小企業に関わらず特に重要なポストで働いていた人材は同業他社への転職によって、技術流出や情報漏洩が起こることが懸念されるからです。
そのため就業規則や労働契約書等で「退職後、○年間は同業他社への就職はしない」等の文言が書かれていたりします。
会社の規則や契約書に書かれていることがすなわち違法となるわけではないので(規則を破ることに対して)法律上問題があるわけではありません。社内規則はあくまで社内のみでのルールです。
むしろ従業員の退職後の職業の選択を拘束することは職業選択の自由(憲法第22条第1項)に違反することになります。
しかし技術流出や機密情報の漏洩等により、前職の会社に損害を与えてしまった場合、損害賠償を請求される可能性は十分あり得ます。
同業同職種への転職は失敗しやすい
同業同職種への転職は、
「ネガティブな理由での転職ではないか?」
と思われてしまうことが多いです。
同じ業種で同じ職種で転職するわけですから、転職理由はどう転んでも「会社にある」と見られてしまいます。
会社が理由で転職するのだとしたら、
1.人間関係が合わなかったのではないか?
2.給料、待遇面で不満があったのではないか?
3.やりがい等を見出せなかったのではないか?
等の理由であることは容易に想像が付き、いずれも印象はよくありません。
面接時に口頭で前向きな転職理由を説明しても。面接官からすれば同業同職種への転職は前向きな転職とは考えづらいのです。
そのため「引き抜き」や「即戦力を急募している」のような状況でもない限り同業同職種への転職は失敗してしまう(年収が下がってしまう)ことが多いです。
異業種、異職種への飛び込みは20代まで
異業種、特に異職種への転職はほぼ未経験での転職となるため20代でしておきましょう。
30歳を過ぎて未経験で転職しようとしても年収アップどころかそもそも採用される可能性が極端に下がります。
異職種への転職を年齢別で見ると、24歳以下の場合約半数となっていますが30歳を超えると30%を切っています。
未経験の業種・職種に転職できる可能性はどれくらい? |転職ならdoda(デューダ)
労働人口の低下で近年は未経験でも比較的採用されやすい傾向にありますがそれでもせいぜい20代までで30を過ぎた未経験者を一から育てようと考える企業は少ないです。
システムエンジニアから会社のシステム担当のように活かせる(ように見える)経験があればその職種が未経験であっても採用される可能性は十分ありますが、全くの畑違いの仕事に転職を考えている場合は20代のうちに実行しましょう。